建設業許可と社会保険の関係を示す日本語のインフォグラフィック。建設現場の人物と保険関連のアイコンが描かれている。

「社会保険に入っていないけど、建設業許可って取れるのかな…?」

こうした疑問を持つ法人・個人事業主の方は少なくありません。建設業許可の取得を検討するにあたり、社会保険との関係は避けて通れないテーマです。

この記事では、社会保険の基礎知識から、建設業許可との関係、加入していない場合のリスク、許可申請への影響まで、行政書士の視点からわかりやすく解説します。

1. 社会保険とは?建設業で関係する保険の種類

「社会保険」とは、国民が病気・老後・失業・労働災害などのリスクに備えるために、国が制度として設けている公的保険制度のことをいいます。大きく分けると、次の2つの体系があります:

  • 広義の社会保険:健康保険・厚生年金保険・介護保険・雇用保険・労災保険など
  • 狭義の社会保険:健康保険・厚生年金保険・介護保険

なお、国民健康保険国民年金も広い意味では社会保険の一種ですが、一般には「自営業者やフリーランスが加入する制度」として区別されることが多いです。

建設業で関係する社会保険は主に以下の4つです:

労災保険:業務災害や通勤災害の補償

健康保険:全国健康保険協会(協会けんぽ)や組合健保(建設国保等)など

厚生年金保険:厚生年金に加入し、老後の年金額に影響

雇用保険:従業員の失業時の給付

法人は必ず加入対象

会社を設立している場合、役員のみであっても社会保険(健康保険・厚生年金)の加入義務があります。 また、従業員を雇用している法人については、これに加えて雇用保険・労災保険への加入も法律上の義務となります。

  • 健康保険(協会けんぽ、健康保険組合等)
  • 厚生年金
  • 雇用保険(週20時間以上等の要件を満たす従業員を1名以上雇用している場合)
  • 労災保険(従業員を1名でも雇用している場合)

個人事業主の場合には…

個人事業主本人(一人親方など)については、健康保険(協会けんぽ、健康保険組合等)や厚生年金の加入対象ではありませんが、一般的に以下のような公的保険に加入しているケースが一般的です:

  • 国民健康保険(市区町村が運営、個人で加入)
  • 国民年金(第1号被保険者、個人で加入)

これらが人を雇用しない個人事業者にとっての基本的な社会保障制度です。

従業員を常時1人以上雇用している場合は、雇用保険・労災保険への加入が法律上の義務となります。また、従業員が5人未満の場合には、健康保険と厚生年金保険の加入義務はありませんが、一定の要件を満たすと加入することができます。(任意適用制度)

法人と個人事業主で必要となる社会保険をまとめると

法人と個人事業主別に必要な社会保険をまとめると以下の表となります。

事業形態状況加入義務
法人(従業員なし)役員のみ健康保険・厚生年金に加入義務
法人(従業員あり)役員+従業員雇用健康保険・厚生年金 + 雇用保険・労災保険
個人事業主(従業員なし)本人のみ国民健康保険・国民年金(個人で加入)
個人事業主(従業員あり)常時1名~4名雇用国民健康保険・国民年金(個人で加入)+雇用保険・労災保険
個人事業主(従業員あり)常時5名以上雇用健康保険・厚生年金 + 雇用保険・労災保険に加入義務
個人事業主(家族従業員のみ)家族に給与支払いがある場合雇用関係が明確であれば社会保険加入が必要

国土交通省の資料に、わかりやすく建設業者の適切な社会保険の加入義務が分かる表がありますので、そちらもあわせてご覧下さい。

また、社会保険制度の詳細や加入義務の要否などについては、各都道府県の社会保険労務士会の相談窓口がありますので、そちらへご相談ください。

📌資料:



2. 建設業許可と社会保険の関係性

令和2年10月の建設業法改正許可要件に

法改正ととともに、適切な社会保険に加入していることが求められるようになりました。国土交通省のガイドラインを見ても、細かく確認・指導がなされる状況になっています。

  • 審査時に加入状況の確認が行われる
  • 国土交通省の通知により未加入企業への指導が強化
  • 公共工事・元請取引での加入要件化

📌 国土交通省「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」についての案内
👉ガイドライン「「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン (改訂版)」(令和4年4月1日より適用)

3. 社会保険に未加入だとどうなる?

【1】新規許可・更新申請は不可

前述したように、令和2年10月の建設業法改正で、社会保険等に適切に加入していることが建設業許可の新規・更新の要件となっています。

未加入のままでは、原則として新規申請・更新は認められません。

📌 神奈川県や東京都の資料例:

【2】公共工事・元請との取引に支障

  • 元請業者から「社会保険加入確認書」の提出を求められる
  • 加入していないと入札・受注の制限

特に公共工事では、未加入企業の参加を制限する動きが加速しています。

📌 資料:


4. よくある質問

社会保険未加入でも建設業許可は取得できますか?

未加入では新規・更新の許可申請は認められません。是正指導を受ける前に適切な社会保険への加入が必要です。

法人役員だけでも加入が必要ですか?

はい。法人は代表者1人でも健康保険・厚生年金への加入義務があります。

一人親方ですが、社会保険は関係ありますか?

原則、国民健康保険と国民年金に加入していれば問題ありません。ただし、現場によっては、特別加入の労災保険建設業退職金共済制度(建退共)の加入要請がある場合もありますので、確認しましょう。

📌 一人親方の社会保険加入要請は、元請企業のコンプライアンス強化や現場入場条件として年々厳しくなってきているため、加入の要否を都度確認することが重要です。

家族従業員でも加入義務がある?

雇用契約を結び給与を支払っている場合、社会保険加入が必要とされる可能性があります。詳細については、年金事務所や社会保険労務士へご相談ください。

参考:日本年金機構「年金Q&A (厚生年金の加入(被保険者)) 個人事業所の場合、事業主およびその家族は被保険者となるのでしょうか。


まとめ

  • 社会保険は、従業員を雇用する法人や個人事業主の場合には、必ず入っていなくてはならない法律上の義務です
  • 建設業許可においては、適切な社会保険に未加入の状態では、新規・更新の申請ができません。
  • 未加入の場合には、早期の加入や対応をしなければなりません。

「うちの状況で、建設業の申請をできるだろうか?」と不安に思ったら、お気軽にご相談ください。


行政書士 山口

神奈川県・東京都を中心に、新規許可申請・各種届出を承っております。ご相談・お見積りは無料ですので、お気軽にご連絡ください。

当事務所が選ばれている理由

  • 業界最安水準/返金保証制度:建設業許可申請 100,000円(税込)~で承ります。万が一、不許可になった場合には、費用を全額返金します。
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投稿者プロフィール

山口 晃
山口 晃
神奈川県を拠点に活動する行政書士
「役所の手続きって面倒でよくわからない…」そんな建設業者さまのために、スムーズでわかりやすい許可取得をサポートしています。
新規許可、更新、決算変更届など、事務負担を軽減したい方や他にもちょっと相談に乗ってほしいという方のお力になります。
現場と法律の間に立ち、信頼できる“身近な専門家”でありたいと思っています。